特集 ノーリフトケア—介護者・対象者 共にやさしい起居・移乗技術
介助者の腰痛や対象者の二次障害を引き起こすケアと,双方にとってやさしい移乗・ベッド上移動支援の実際
眞藤 英恵
1,2
1かんでんライフサポート株式会社ローズライフ事業部
2一般社団法人ナチュラルハートフルケアネットワーク
pp.330-335
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200852
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はじめに
ケアを提供する者(介助者)にとって,対象者の「笑顔」や「その人らしい暮らしの実現」は,何にも増してうれしいものである。しかし,それには,日々の暮らしを支える「安全と安心」が不可欠な要素となる。
対象者にとって,日常的に受けている介助が,「痛い」「けがをするかもしれない」という状況であれば,心豊かに過ごすことや暮らしの可能性を感じることが,難しくなるのではないだろうか。
また,介助者も,「事故を起こすかもしれない」「自身の身体を痛めるかもしれない」「すでに腰痛などの痛みを我慢している」というような状況では,やさしい笑顔でケアを提供することもできなくなってしまう。特に中・重度の介助が必要な対象者への介助では,「力任せに抱え上げる,ひきずる」などの介助になりがちで,このような介助は事故の発生や介助者・対象者双方の健康被害を引き起こしてしまうことになる。
日本のケア現場では,まだまだこのような状況が現存していると思われ,早急に「安全・安心」に基づいた「ケアの質向上」を実現する土壌を固めていかなければならないと考える。
ここでは,「力任せに抱え上げる,ひきずる」など,避けたい介助について,介助者の腰痛予防などの視点,対象者の二次障害を防ぐ視点から説明を加えていく。
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