Japanese
English
入門講座 介護方法論・3
在宅障害者に対する移乗・移動動作の介助方法
Methodology of Caring. 3: Guidance of Transfer and Locommotion Techniques for the Homebound Physically Disabled
松葉 貴司
1
,
山崎 哲司
1
Takashi MATSUBA
1
,
Tetsuji YAMASAKI
1
1横浜市総合リハビリテーションセンター地域サービス室
1Community Service Devision, Yokohama Rehabilitation Center
pp.179-184
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103957
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.初めに
在宅生活を余儀無くされている高齢者の多くは,脳卒中などによる重度の障害を有している.横浜市における在宅リハビリテーションサービスは,対象者の6割が65歳以上の高齢者で,また5割以上が発症後数年を経過した脳卒中患者であり,日常生活における「起居」や「移乗」,「移動」動作の際に,何らかの介助が必要かあるいは全介助のものが約2/3を占めている.したがって,対象者自身に対する動作指導はもとより,介護者に対する介助方法の指導も,われわれ理学療法士が行なう在宅リハビリテーションサービスの一つである.
今日では重度機能障害に加え,高齢世帯の増加が問題となっており,これらのリハビリテーションサービスが,「物理的な介護力の不足」を補いえない場面にも,しばしば遭遇する.そこで,介護用福祉機器や家屋改造といった環境整備を薦めることも多い.また一見して,動作指導や介助法指導が必要と判断した場合であっても,対象者本人や介護者の障害に対する理解が不十分であったり,夫婦仲や家族関係に問題を抱えていることもある.このような場合,リハビリテーションサービスの効果は期待できないことが多い.
動作指導や介助法指導を行なう場合,本人の残存能力を評価し,日常生活の中でそれを最大限に活用するよう配慮することは言うまでもない.加えて,介助を行なう介護者の技能や健康状態,ベッドや車いすの高さ,介助スペースの有無といった生活環境,本人および介護者の関係や生活嗜好などの評価が,具体的なリハビリテーションサービスの内容を決定する重要な因子となろう.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.