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事例紹介
事例は伊藤さん(仮名),83歳の男性です。貴金属加工職人として自営業を手伝っていましたが,突然の右麻痺,呂律障害にて3月4日に脳神経外科を受診して脳梗塞と診断,入院しました。保存療法とともにリハも低頻度ながら行われていたようです。入院2週後,感染性喘息発作が認められリハ中止となりました。発作は改善傾向となりましたが,食事がほとんど食べられなくなりました。元気がありません。奥さんは毎日病室へ通い,伊藤さんのベッドサイドで過ごしていました。帰ろうとすると伊藤さんが大変嫌がる様子を見て,ご家族は「家に帰りたいのではないか」と思っていたようです。結局リハは再開できず,主治医と家族の話し合いのうえ,呼吸器症状がコントロールできた時点で,4月14日に自宅退院となりました。
訪問診療を受けることになり,訪問医よりリハ導入の話がありました。4月20日ご自宅にうかがいますと,伊藤さんはベッド上に端座位で迎えてくれました。退院直前,身長160cm,体重49kg,BMI 19.1,若い頃結核を患い右肺切除の既往があり,もともと細身でしたが入院中の摂食障害で2kgほどやせたとのことでした。しかし退院後,食欲は改善傾向とのことでした。発語失行がありましたが,アイコンタクト・言語理解は良好で挺舌など口頭指示には従えます。「リハ,頑張れますか?」の問にしっかりうなずかれる姿が印象的でした。状況判断良好で,協力的と判断しました。右利き,握力右0kg左13.2kg。右麻痺重度,排泄はおむつを利用されていますが,家族のお話では尿意はありそうです。4点杖と下肢の振り出しを介助してわずかな距離の歩行を試しておられました。ただし数mの移動で頻脈となり,息切れあるとのことでした。入浴後(介助浴)は疲れて動けないなど易疲労性が目立ちます。また右上下肢の浮腫も著明でした。介護保険では要介護3の認定を受けていました。
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