特集 これからの地域看護のかたち—施設篇
いのち,暮らし,尊厳を守り,支える看護—看護小規模多機能施設の取り組み
和田 洋子
1
1有限会社たくみケアサービス
pp.767-772
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200496
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はじめに
世界に類を見ない速さで超高齢社会に突入したわが国は平成12(2000)年に介護保険制度(皆保険)が導入され,早16年が経過した。その結果,地域におけるさまざまなケースが掘り起こされ,高齢者施策はそれなりに成果を上げてきた。しかし,昭和20年代(1940年代後半)生まれの団塊の世代が後期高齢者になる2025年には,後期高齢者の医療費を占める割合が24.1%になることが予測される(図1)。国の財政上の問題や疾病構造,社会構造変化に伴う独居,老老介護などの複雑な生活背景から生じる虐待,孤独死などが連日ニュースで報じられ,今までの施策や取り組みでは解決できない状況がある。国民の多くは高齢や病気や障害があっても住みなれた地域や家でなじみの人に囲まれ最期まで自分が望む暮らしを願っているが,現実にはさまざまな困難がある。
長年,訪問看護は医療依存度が高く,状態の変化が著しい人に対し24時間365日看護を提供してきたが,限られた時間の中での対応で,ほとんど家族が担っており,家族の負担は計り知れないものがある。今後増え続ける慢性疾患を抱えて生きる人,認知症高齢者など,介護を必要とする人々に,医療・看護・介護の在宅サービスだけではない多様なサービスが急務である。平成24(2012)年度の介護保険改正によって作られた,訪問看護と小規模多機能型居宅介護サービスを組み合わせた看護小規模多機能型居宅介護に取り組み,第二のわが家を目指した「つるかめ庵」(以下,当施設)の活動について報告する。
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