連載 老健のPT—転倒事故をゼロに近づけるための挑戦【最終回】
食事時のテーブル高さ適正調査と移動・移乗動作の学習支援
深沢 和範
1
1医療法人立星会介護老人保健施設甲府南ライフケアセンター
pp.430-433
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200136
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
食事場面での事故
転倒転落等事故に比べ,食事中の誤嚥などによる事故比率は少ないが,入浴事故同様に重大事故につながりやすく,安心して食事を提供するうえで環境整備は非常に重要である。運動機能面上,頸部筋群の運動制御が困難になると,重力に抗する姿勢反射が優位に働き,頸部は後屈,反りやすくなってしまう。さらに下顎骨が下がり,咀嚼や舌筋による食塊移送を困難にし,嚥下反射時の喉頭蓋閉鎖を阻害しかねない1)。端座位姿勢を安定した肢位に保つことができなくなる障害や筋力や筋持久力の低下がみられる老化現象などで,誤嚥する可能性は高い。また介護老人保健施設などでは,食事にかかわれる職員数も少なく,個別対応介護以外の複数の対象者に眼が十分に行き届かない。事故を予防するためにも,姿勢を正すような食事環境整備は必要不可欠である。
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.