特集 地域における言語聴覚士の仕事—これからの展望
当事者や家族の会へのかかわり—小児分野
阿部 聡
1
,
石田 朋江
1
1鼓ヶ浦こども医療福祉センター リハビリテーション部
pp.264-268
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200086
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はじめに
筆者らは,業務として「言語室内」で「個別に」お子さんやご家族(母親,父親,祖父母など〔以下,保護者〕)にかかわっている立場であり,地域生活に直接かかわってはいない。このような働き方は,医療現場に勤務する多くのSTも同様だと思う。筆者の一人である阿部は,自閉症の娘をもつ父親の立場でもある。障害のあるお子さんにとってより良い社会とは何なのか,自分なりに模索してきた。地域の保護者勉強会や父親の会の立ち上げなどに携わり,平成25(2013)年度まで県の親の会事務局も引き受けてきた。筆者はそのような取り組みを通じて,お子さんに対する支援だけでは限界があること,そして保護者を支える仕組みが必要であることを確信している。
近年,保護者が保護者を支える仕組みが注目を集めている。その中心的なものに,「ペアレント・メンター」がある。メンター(mentor)とは「信頼のおける相談相手」という意味である。筆者自身,平成20(2008)年に日本自閉症協会のペアレント・メンター養成講座を受講している。
本稿では,阿部よりペアレント・メンター(以下,メンター)の制度やその役割1)2)を紹介し,家族の会における中心的な活動の1つ,相談活動での保護者支援についてまとめてみたいと思う。そして石田が,鼓ヶ浦こども医療福祉センター(以下,当院)の「難聴児ご家族の会」の取り組みを紹介し,保護者支援における専門家のかかわりについて考えてみたいと思う。
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