連載 こんにちは患者会です
嚥下障害患者を支える家族の会 スワロー
pp.1009
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100809
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活動の特徴
高齢化の進展とともに,脳血管障害,慢性呼吸器疾患,神経・筋疾患等で寝たきりになる方が増加しています.さらにこのような方々は,その後遺症によって生活の質(Quality of Life)が低下し社会的ハンディキャップを負うことになります.なかでも嚥下障害は,“口から食べる”というもっとも基本的な欲求を患者自身から奪っていきますが,そのために患者もその家族も非常につらい日々を過ごすことになります.しかし,このような患者や家族の苦しみが顕在化しているのかというとそうではありません.嚥下障害は脳血管障害患者の4割に発症するともいわれ,また嚥下障害をわずらう高齢者の死因の9割が誤嚥性肺炎であるという事実からも,この障害が社会に与える影響が甚大であるということがうかがえます.
したがって,このような嚥下障害で苦しむ患者とその家族を支援することは,社会的にみてきわめて重要であると思われますが,残念ながらわが国ではその態勢が十分整っているとはいえません.患者の組織すらできていないのが現実です.嚥下障害になると経口摂取は諦めなければならないという家族の受けとめ方,またチューブや胃瘻での栄養管理で全身管理はなされているという現在の医療体系などに対して,根本的な改善を望む声は非常に大きく強いものがあることをしっかりと認識しなくてはなりません.
以上のような現状を鑑み,私どもはわが国においても幅広い活動が可能な組織を作ることが必要であると考え,嚥下障害患者とその家族を支援するために,当会を設立することにしました.
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