巻頭カラー 潤いのある日常—チェシャーホームでの暮らし・第2回
できてもできなくても,皆がすることを
小林 寿裕
,
社会福祉法人ひょうご障害福祉事業協会
Kobayashi Toshihiro
pp.72-73
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200025
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チェシャーホーム「はりま自立の家」「はんしん自立の家」「しそう自立の家」には,心身に重い障害のある人たちが暮らしています。開設当初は,趣味の活動として,皆さんができることは何なのかを探していました。重い障害のため,限られたことしか取り組めないと考えていました。
ところが北欧で,最も重い障害のある方の住まいを見学した時,目も見えない人の部屋に見事にカラーコーディネートされた調度品,カーテン,ベッドカバー,色とりどりの花々が飾られていることに驚きました。キッチンにはオーブンなど調理道具が揃えられていました。近くには地域の人も一緒に利用するレストランもありましたので,「食事を作れないし作る必要もないのに,なぜオーブンなど調理道具を揃えるのか」と聞きました。返ってきた答えは,「この国ではこの年代の人の住まいはこのようです。普通の人と同じようにしているだけで,使うか使えないか使わないかは別の問題」とのことでした。大きな衝撃でした。これがノーマライゼーションだと思いました。
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