Japanese
English
特集 各神経ブロック,関節ブロックの実際
閉鎖神経・上殿神経・坐骨神経ブロック
Obturator, Superior Gluteal, and Sciatic Nerve Block
臼井 要介
1,2,3,4
,
鈴木 翼
1
,
栗田 泰成
5
,
三浦 真弘
6
,
金子 瑞恵
1
,
白川 香
1
,
水谷 彰仁
1
Yosuke USUI
1,2,3,4
,
Tsubasa SUZUKI
1
,
Yasunari KURITA
5
,
Masahiro MIURA
6
,
Mizue KANEKO
1
,
Kaori SHIRAKAWA
1
,
Akihito MIZUTANI
1
1静岡リハビリペインクリニック
2獨協医科大学埼玉医療センター麻酔科
3東北大学麻酔科学・周術期医学分野
4順天堂大学麻酔科・ペインクリニック
5常葉大学健康科学部静岡理学療法学科
6大分大学医学部・解剖学講座
1Shizuoka Rehabili Painclinic
キーワード:
閉鎖神経ブロック
,
obturator nerve block
,
上殿神経ブロック
,
superior gluteal nerve block
,
坐骨神経ブロック
,
sciatic nerve block
Keyword:
閉鎖神経ブロック
,
obturator nerve block
,
上殿神経ブロック
,
superior gluteal nerve block
,
坐骨神経ブロック
,
sciatic nerve block
pp.529-537
発行日 2024年8月19日
Published Date 2024/8/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202352
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はじめに
腰下肢痛の保存療法に対するわれわれの治療戦略は,問診,徒手検査,画像診断だけでなく,歩行周期のどのタイミングで痛みが生じるかを重視し,末梢神経ブロックによる診断的ブロックと理学療法を組み合わせている12,13).
歩行周期は荷重の受け継ぎ,単脚支持,遊脚肢の前方移動に分けられ,さらに荷重の受け継ぎは初期接地と荷重応答期,単脚支持は立脚中期と立脚終期と前遊脚期,そして遊脚肢の前方移動は遊脚初期と遊脚中期と遊脚終期に分けられる(図 1).初期接地では骨盤は約10度前傾し,股関節は屈曲しているため腸骨大腿靭帯は弛緩している.荷重応答期,立脚中期と徐々に骨盤は前傾し,股関節の伸展は大きくなる.そして,立脚終期では骨盤は最大前傾約25度となり,股関節が最大に伸展するため腸骨大腿靭帯は緊張する(図 2).腸骨大腿靭帯の緊張で得られたバネエネルギーは遊脚肢のスイングによる前方移動に利用される.次の歩行周期で前方に振り出された下肢のハムストリング,中殿筋後部線維,大殿筋の伸展筋群は荷重の受け継ぎのブレーキ役として働き,中殿筋,大殿筋上部線維,大腿筋膜張筋の外転筋群は股関節内転による体幹の反対側への転倒防止役として働く1,2).
今回,ischiofemoral impingement syndrom14)の症例を通して,歩行周期の疼痛出現時期,股関節に対する超音波ガイド下末梢神経ブロックの適応と方法,腰椎・骨盤・股関節の運動連鎖,そして理学療法について説明する.
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