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特集 脊椎外科における骨粗鬆症のbest practice
椎体骨折を契機に発症した脊柱変形に対する治療戦略
Treatment Strategies for Spinal Deformity Developed by Osteoporotic Vertebral Fracture
森平 泰
1
Hiroshi MORIDAIRA
1
1獨協医科大学整形外科学
1Department of Orthopedic Surgery, Dokkyo Medical University School of Medicine
キーワード:
脊柱変形
,
spinal deformity
,
骨粗鬆症性椎体骨折
,
osteoporotic vertebral body fracture
,
治療戦略
,
treatment strategies
Keyword:
脊柱変形
,
spinal deformity
,
骨粗鬆症性椎体骨折
,
osteoporotic vertebral body fracture
,
治療戦略
,
treatment strategies
pp.197-203
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202284
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はじめに
高齢者人口の増大に伴い,骨粗鬆症性椎体骨折(osteoporotic vertebral fractures:OVF)はわが国の整形外科医が日常的に遭遇する疾患となっている.大半のOVFは保存治療で対応できるが,OVF後に偽関節や後弯変形を生じると神経障害や持続する痛みの原因となり,OVF治療を困難にする.種市ら13)はOVFの保存治療症例101例を調査し,36.6%で進行性椎体圧潰をきたし,13.9%が偽関節になり,神経障害の合併により3.0%で手術治療が施行されたと報告している.近年,骨粗鬆症の薬物治療は進歩しているものの,いまだOVF後の偽関節形成や後弯変形は数多く発生し,その外科的再建術は骨の脆弱性のため容易ではなく周到な準備と治療戦略が求められる.
OVFによる臨床症状は,骨癒合不全による局所の痛みから,椎体圧潰による脊柱管ならびに椎間孔での神経障害,さらに外傷後後弯による矢状面グローバルアライメント異常に起因する腰背部痛,立位保持・歩行困難,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD),呼吸機能低下などと多岐にわたる.椎体の圧潰が軽度の患者には椎体形成術が適応となるが,重度の椎体圧潰に伴う神経障害や矢状面バランス不全のある患者では,局所の前方支柱再建や骨折部を含めた長範囲固定が必要となる4,15).本稿では,OVFを契機に発症した脊柱変形に対する治療戦略として,前方支柱再建や長範囲固定を必要とするOVF重症例における術式選択や固定範囲について,当科における臨床研究も紹介しながら考察する.
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