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特集 わかればみえる! 脊椎手術術野へのアプローチ
側方経路椎体間固定術—後腹膜腔の微小解剖と合併症の回避
Lateral Interbody Fusion: Microanatomy of Retroperitoneal Cavity and Avoidance of Complications
上田 茂雄
1
,
小原 次郎
1
,
大塚 宗廣
1
,
豊嶋 敦彦
1
,
福田 美雪
1
,
佐々木 伸洋
1
,
黒田 昌之
1
,
寳子丸 稔
1
Shigeo UEDA
1
,
Jiro OHARA
1
,
Munehiro OTSUKA
1
,
Atsuhiko TOYOSHIMA
1
,
Miyuki FUKUDA
1
,
Nobuhiro SASAKI
1
,
Masayuki KURODA
1
,
Minoru HOSHIMARU
1
1交野病院信愛会脊椎脊髄センター
1Shin-ai Spine Center
キーワード:
側方経路椎体間固定術
,
lateral interbody fusion
,
LIF
,
低侵襲手術
,
minimally invasive surgery
,
合併症
,
complication
Keyword:
側方経路椎体間固定術
,
lateral interbody fusion
,
LIF
,
低侵襲手術
,
minimally invasive surgery
,
合併症
,
complication
pp.709-718
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202177
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はじめに
Lateral interbody fusion(LIF,側方経路椎体間固定術)は低侵襲腰椎椎体間固定術の一法として急速に普及してきた.脊椎の安定化に寄与している主要な靭帯組織を温存しつつ椎体間高を再構築する術式であるため,靭帯性整復の機序を利用した冠状面および矢状面アライメントの矯正と神経組織の間接除圧が同時に実施可能である.椎間板の退行変性を伴う脊柱管狭窄や変性(後)側弯症に対しては,主たる病理に対する直接的なアプローチとなるため理にかなった術式といえる.
LIFは従来のanterior lumbar interbody fusion(ALIF,前方経路腰椎椎体間固定術)の利点を効果的に低侵襲化しているものの,ALIFと同じく後腹膜臓器や大血管損傷のリスクを有しており,すでに重篤な合併症も報告されている.
本稿のユニークな点は,肉眼では識別が困難な後腹膜腔の微小解剖に着目している点である.脳手術は1960年代に導入された手術用顕微鏡によって,格段の進歩を遂げた歴史的背景がある.これは,顕微鏡下に繊細な手術操作が可能になったのみならず,手術野における微小解剖の理解が進んだことが要因である.LIFは後腹膜腔を利用した比較的大きな術野で実施される術式であるため,手術用顕微鏡を使用する必要はない.しかし,脳手術と同様に微小解剖を理解することで得られる安全な手術経路について解説する.
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