Nomade
脊椎外科医の統計うんちく
武中 章太
1
1JCHO大阪病院整形外科(脊椎外科センター)
pp.291-292
発行日 2023年6月30日
Published Date 2023/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202075
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このコラムを執筆する機会をいただき大変光栄に思っていますし,私自身も楽しく拝見しています.これまで執筆されている諸先輩方の,脊椎脊髄外科だけなく医学全体を俯瞰した観点からの提言に感服すると同時に,そこまでの知見を持ち合わせていない私には大所高所からの論述は少し荷が重く,代わりに自身の少し変わった経歴をもとに,知っていると豆知識(うんちく?)になるお話をしたいと思います.
私は2002年医学部卒業ですが,その前は分析を専門とする会社に勤務していました.X線光電子分光という表面(1〜10nm)の元素組成とその化学状態を調べる手法を専門としており,スペクトルとにらめっこしていました.スペクトルというのは共鳴現象のことで,数学的にはコーシー分布(富士山のような形)であり,正規分布よりだいぶ裾野が広い形をしています.MRIの“R”はresonanceで「共鳴」ですし,日常生活ではスマホなどの無線機器でこの現象が利用されています.上記の経歴が影響してか,統計学については一般的な整形外科医よりやや詳しいところがあります(専門家とは雲泥の差ですが,統計検定の統計数理1級を取得しています).今回は臨床になじみの深いものとして,①t検定の基礎となっているt-分布と正規分布・コーシー分布の不思議な関係,②合併症が従うと考えられるポアソン分布についてお話ししたいと思います.
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