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特集 周術期対応ハンドブック—術前準備から術後管理・社会的対応まで
第2章 術前準備と周術期管理
高齢者の脊椎脊髄手術に対する術前説明のポイントと周術期管理
Preoperative Explanation and Perioperative Management for Spine Surgery in the Elderly
粕川 雄司
1
,
宮腰 尚久
2
Yuji KASUKAWA
1
,
Naohisa MIYAKOSHI
2
1秋田大学医学部附属病院リハビリテーション科
2秋田大学大学院医学系研究科整形外科学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, Akita University Hospital
キーワード:
高齢者
,
elderly patients
,
脊椎手術
,
spinal surgery
,
周術期管理
,
perioperative management
Keyword:
高齢者
,
elderly patients
,
脊椎手術
,
spinal surgery
,
周術期管理
,
perioperative management
pp.889-895
発行日 2023年3月31日
Published Date 2023/3/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201969
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はじめに
わが国の高齢化率は2021年で28.9%と世界一高く,今後も65歳以上の人口は増加すると推計されている18).高齢化の進行に伴い,高齢者の健康寿命を延ばすことは重要な課題の1つとなっている.高齢者が寝たきりとなる原因はさまざまであるが,骨折・転倒,および関節疾患などの運動器疾患が約1/4を占めることから,運動器障害の早期発見や社会への啓発のためにロコモティブシンドローム(ロコモ)という概念が提唱され19),脊椎疾患もロコモの原因となる.そのため,健康寿命を維持・延伸するため,高齢者に対する脊椎脊髄手術件数は増加すると考えられる.しかし,高齢者に対する脊椎脊髄手術では,高齢者に生じる身体機能の変化や家族構成などの社会的背景を理解することや,日常生活動作(ADL)がどの程度自立していたか,併存症に対する対策,認知機能の判断など,高齢の患者を総合的に評価・判断して,手術を実施する必要がある.さらに,周術期の合併症対策や術後のフォローも重要となってくる.本稿では,高齢者に対する手術件数の推移,高齢者の身体機能の変化などを含め,術前説明のポイントや,周術期の管理について概説する.
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