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特集 周術期対応ハンドブック—術前準備から術後管理・社会的対応まで
第2章 術前準備と周術期管理
周術期の抗血小板薬・抗凝固薬の使い方
Perioperative Management of Antiplatelet and/or Anticoagulant Agent
酒井 紀典
1
Toshinori SAKAI
1
1徳島大学整形外科学教室
1Department of Orthopedics, Tokushima University
キーワード:
脊椎脊髄手術
,
spine surgery
,
抗血栓療法
,
antithrombotic therapy
,
周術期管理
,
perioperative management
Keyword:
脊椎脊髄手術
,
spine surgery
,
抗血栓療法
,
antithrombotic therapy
,
周術期管理
,
perioperative management
pp.883-888
発行日 2023年3月31日
Published Date 2023/3/31
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201968
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はじめに
高齢化社会を反映し,循環器疾患や脳血管疾患などを併存し,抗血栓薬(抗血小板薬や抗凝固薬など)を常用している患者が増加している.脊椎脊髄疾患に対する手術においては,術中止血が困難となると神経周囲の操作に支障をきたし神経損傷のリスクが高くなり,また何とか手術を無事終えたとしても,椎弓切除術など後方手術では硬膜外血腫による重篤な神経麻痺,頸椎前方固定術などの前方手術では血腫による気道閉塞などによる窒息など,術中の出血のみならず術後の血腫発生に対しても配慮が必要となる.一方,抗血栓薬を休薬することによって発生し得る血栓性合併症は,生命に関わる重篤な合併症となり得る.脊椎脊髄外科医にとっては,まさしくジレンマである20).
結論から述べるが,本稿を作成している現時点(2022年9月)では,脊椎脊髄手術周術期における抗血栓薬の休薬/継続に関して,どちらにすべきなのか正解はない.本稿においては,日本循環器学会(JCS)から発行されている「非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン」2022年改訂版(以下,2022年改訂版ガイドライン)の内容を中心に紹介させていただく18).これらの内容を十分理解していただき,十分な患者への説明と各診療科との連携の下,最終的にどうすべきかを判断していただきたい.
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