仙腸関節障害に対する関節を固定しない手術療法

Force Closure Reconstruction of the Sacroiliac Joints

はじめに

　仙腸関節障害に対する観血的治療として，仙腸関節固定術が世界的に施行されている．

　通常，関節が固定されれば関節痛は改善するが，関節機能は失われる．もし関節機能を温存したまま関節痛が改善できれば，患者に多大な利益をもたらす．

　仙腸関節障害の病態に迫り，失った機能を詳らかにして，その失った機能を修復すれば，関節機能を温存できる可能性がある．

　関節機能を温存する試みとして，仙腸関節障害に対する関節固定をしない手術療法（以下，「force closure再建術（仮称）」）を考案した．筆者が考えている仙腸関節障害の病態を提示し，2例の治療経験に基づいて，force closure再建術の今後の課題について考察を加える．