後方脊椎手術におけるSSIの危険因子—胸腰椎—特に変性疾患について—

Risk Factors for Surgical Site Infection after Posterior Thoracolumbar Spine Surgery for Degenerative Diseases

はじめに

　胸腰椎手術は脊椎手術全体の7〜8割とその大半を占める^4,10）．また，本邦における全国調査にて脊椎手術全体のうち変性疾患は78.2％との報告^10）があり，脊椎外科の治療対象として主体をなすものといえる．前方アプローチによる手術は2011年の全国調査では4.3％^4）とかなり少ない．近年は小侵襲な側方アプローチ〔lateral lumbar interbody fusion（LLIF）など〕の適応例が増え前方再建手術が見直されているが，後方手術は前方手術に比較しsurgical site infection（SSI）発生が多く，胸腰椎後方手術はSSI調査の対象として非常に重要である．

　本稿では，筆者らの行った変性疾患に対する腰椎後方除圧術後，胸腰椎後方固定術後のSSIリスク因子に関する多施設調査の内容について紹介する^11,12）．