Japanese
English
特集 脊椎・脊髄損傷—診断・治療の最前線と今後の展望
急性期脊髄損傷のバイオマーカー
Biomarkers in Acute Treatment for Spinal Cord Injury
緒方 徹
1
Toru OGATA
1
1国立障害者リハビリテーションセンター
1National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities
キーワード:
予後予測
,
prognostic evaluation
,
組織構成蛋白質
,
structural protein
,
炎症反応
,
inflammatory reaction
Keyword:
予後予測
,
prognostic evaluation
,
組織構成蛋白質
,
structural protein
,
炎症反応
,
inflammatory reaction
pp.910-914
発行日 2020年10月25日
Published Date 2020/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201506
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バイオマーカーが必要となる背景
近年飛躍的に進んだ再生医療に関連した基礎研究は,新しい治療法を生み出すだけでなく,脊髄損傷の病態理解を深めることにつながっている.従来から提唱されてきた一次損傷(物理的損傷)と二次損傷(遅れて生じる細胞死で,治療のターゲットと考えられる)の病態理解はさらに進み,二次損傷において細胞死が生じるメカニズムについての知見も蓄積されている.同時に,そうした二次損傷が進む時期は脊髄に内在する細胞が修復に働こうとする時期でもあり,修復と細胞障害のダイナミックな反応が初期の数週間にわたって続いていることがわかってきた.一方で,急性期の正確な診断の妨げになるspinal shockは,上位ニューロン障害であるにもかかわらず損傷髄節より遠位で,筋緊張の低下と反射消失が出現する病態であり,そのメカニズムについて不明な点が多い.
こうした超急性期に続く急性期,あるいは亜急性期において,さまざまな治療法の検討が進んでいる.以下に代表的なものを挙げる.
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