Japanese
English
特集 心因性疾患(変換症/転換性障害;ヒステリー)の現在
手外科領域で遭遇する転換性障害症例
Conversion Disorder of Upper Extremity
池田 和夫
1
,
納村 直希
1
,
多田 薫
2
Kazuo IKEDA
1
,
Naoki OSAMURA
1
,
Kaoru TADA
2
1金沢医療センター整形外科
2金沢大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Kanazawa Medical Center
キーワード:
末梢神経障害
,
peripheral nerve disorder
,
ヒステリー
,
hysteria
,
癒着
,
adhesion
Keyword:
末梢神経障害
,
peripheral nerve disorder
,
ヒステリー
,
hysteria
,
癒着
,
adhesion
pp.215-221
発行日 2020年3月25日
Published Date 2020/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201331
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
以前には「ヒステリー」と呼ばれていたが,現在では「転換性障害」と呼称される症状を呈する疾患がある.これは,心の病が身体に投影されて症状を呈しているので,いわゆる偽装により何らかの利益を得る「詐病」とは一線を画する7).ただ,DSM-5によれば,意識的な故意かどうかの評価は信頼性が低いので,偽装されたものでないという判断は必要ではないことになっている15).しかし,明らかに故意であることが証明されたなら,その時点で転換症ではなく詐病と診断される.転換性障害の場合には,故意でないので,本人は病気であると信じている.したがって,患者の訴えている身体的障害を認めたうえで,身体疾患と同様に扱うことが大切といわれている16).多くは,見たり読んだりした他人の症状を模倣する形で症状が現れるので10),注意深く診察をしないと不要な手術をしてしまうことになる9).転換性障害は,検査による確定診断ができないために,既知の疾患を除外することで診断をする12).したがって,既知の疾患に合わない病歴・症状の場合に,この転換性障害を鑑別診断に入れておくことが必要になる.今まで論文発表をしてきた症例の総括となるが,症例を提示するので,診断の一助になれば幸いである4,5,8,9)(表 1).
Copyright © 2020, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.