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特集 歯突起後方偽腫瘍
歯突起後方軟部組織肥厚に影響する因子
Factors Influencing on Retro-odontoid Soft-tissue Thickness
東條 慎次郎
1
Shinjiro TOJO
1
1日本赤十字社医療センター放射線科
1Department of Radiology, Japanese Red Cross Medical Center
キーワード:
環椎横靭帯
,
transverse ligament
,
環軸関節不安定
,
atlantoaxial instability
,
アミロイド沈着
,
amyloid deposition
Keyword:
環椎横靭帯
,
transverse ligament
,
環軸関節不安定
,
atlantoaxial instability
,
アミロイド沈着
,
amyloid deposition
pp.887-889
発行日 2018年10月25日
Published Date 2018/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200975
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頸椎歯突起後方軟部組織肥厚に影響する因子について考えるには,まず歯突起後方の解剖学的構造を理解する必要がある.歯突起後方には,環椎の左右外側塊に付着する環椎横靭帯があり,後正中環軸関節を形成する.これは滑膜関節であるが,環椎横靭帯の歯突起関節面は線維軟骨(sesamoid fibrocartilage)である.横靭帯と直交する縦束が大孔後縁と軸椎の椎体後縁を結び,横靭帯を補強している.横靭帯と縦束を合わせて環椎十字靭帯と呼ばれる.さらに,その背側には蓋膜が斜台に始まり,下行して後縦靭帯となる.したがって,歯突起背側の軟部組織には滑膜,線維軟骨,横靭帯,蓋膜が存在する(図1)16).
歯突起後方軟部組織の肥厚がいずれの成分に由来するかは,さまざまな原因により異なると考えられるが,特に横靭帯が中心として考えられており,関節リウマチなど炎症性変化の場合には滑膜もその要素となり得る.関節リウマチにおいては全患者の2/3という高頻度で頸椎が侵され,環軸関節に亜脱臼をきたすことがあるが,そのような患者において特に炎症に侵された後正中環軸関節に炎症性肉芽(パンヌス)を形成することが知られている5,20).Pettersonら10)やYonezawaら17)は,MR画像から,パンヌスばかりではなく慢性的な機械的刺激による線維性組織も含まれていると報告している.
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