Japanese
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特集 脊髄再生
慢性期と急性期での脊髄損傷における神経回路の再生
Restoration of Neural Circuits at the Chronic Stage of Spinal Cord Injury
角家 健
1
Ken KADOYA
1
1北海道大学医学研究院先端的運動器機能解析・制御学講座
1Advanced Research for Functional Analysis and Regulation of Locomotor System, Hokkaido University Graduate School of Medicine
キーワード:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
軸索再生
,
axon regeneration
,
神経前駆細胞
,
neural progenitor cell
Keyword:
脊髄損傷
,
spinal cord injury
,
軸索再生
,
axon regeneration
,
神経前駆細胞
,
neural progenitor cell
pp.579-587
発行日 2018年6月25日
Published Date 2018/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200900
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はじめに
労働環境の整備,自動車の安全性向上にもかかわらず,いまだに脊髄損傷患者の数は多い.特に近年は,超高齢化社会の到来に伴う軽微な外傷による脊髄損傷が増加している.脊髄は脳と末梢をつなぐ中枢神経であるため,その損傷により損傷高位以下の麻痺が発生するが,いまだに有効な治療法はない.脊髄損傷の病態は,軸索の損傷による中枢と末梢の連絡性(軸索)の途絶であるから,理想の治療は,損傷軸索が再生し,損傷前に投射していた神経細胞と再度シナプス結合することである.近年の神経科学の発展により,非常に限定された条件ではその達成が可能であることが証明されたが,臨床的な実現にはほど遠いのが現状である.また,損傷後一定時間が経過した慢性期になると,軸索再生の阻害要因がさらに加わり,神経回路の再生はより困難となる.本稿では,慢性期を含む脊髄損傷後の神経回路再生方法の現状について,われわれが取り組んできた手法を中心に概説する.
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