特集 脊椎脊髄手術の安全性を高める予防と対策
特集にあたって
田口 敏彦
1
1山口大学大学院医学系研究科整形外科学
pp.257
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200829
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多くの情報が氾濫する現在,医療に関する情報も広く流通している.そして患者はより多くの情報を求め,特に自分が期待する結果が得られない場合にその原因を追求する傾向が高まってきている.医療の実践において,患者の安全に医療機関を挙げて取り組むことはもちろんであるが,この理念の実践には,すべての診療現場で患者と医療提供者の信頼関係がこれまで以上に深まることが何よりも重要である.
脊椎脊髄手術の現場では,spinal instrumentation surgeryや内視鏡などの手術機器の進歩が,手術適応の拡大を生み,その適応の拡大がさらなる新しい機器を生むという指数関数的な進歩を遂げてきている.これらの急速な医療の進歩で,医療における効率性と安全性の確保という問題がますます留意すべき課題になってきた.特に脊椎脊髄領域においての手術は,それ自体がほかの領域の手術よりリスクが高く,医療安全が強く求められている.術前に合併症をすべて伝えることは不可能であり,あらかじめ予想される危険性を患者にどうやって,どの程度,事前に理解してもらうかは,担当医としては非常に悩むところだと思われる.このような状況に対応すべく,ナビゲーションやモニタリングなどの医療機器の使用はもとより,小さな工夫で脊椎脊髄治療の安全性を高めている医療施設が多くみられる.患者の心理的な問題やクリニカルパスなど脊椎脊髄治療の安全性確保のためにユニークな工夫もなされている.
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