Japanese
English
特集 髄内腫瘍の集大成と新しい話題
病理組織型に基づいた髄内腫瘍の治療方針
Treatment Consideration of Intramedullary Tumors Based on Their Pathology
飛驒 一利
1
,
矢野 俊介
1
,
関 俊隆
2
,
青山 剛
3
Kazutoshi Hida
1
,
Shunsuke Yano
1
,
Toshitaka Seki
2
,
Takeshi Aoyama
3
1札幌麻生脳神経外科病院
2北海道大学脳神経外科
3手稲渓仁会病院脳神経外科
キーワード:
髄内腫瘍
,
intramedullary tumor
,
外科治療
,
surgical treatment
,
腫瘍病理
,
tumor pathology
Keyword:
髄内腫瘍
,
intramedullary tumor
,
外科治療
,
surgical treatment
,
腫瘍病理
,
tumor pathology
pp.1059-1067
発行日 2017年12月25日
Published Date 2017/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200757
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はじめに
髄内腫瘍は,中枢神経系の腫瘍のうち比較的まれな腫瘍である.その頻度は中枢神経系の腫瘍の2〜4%,脊髄硬膜内の腫瘍の15〜20%といわれている.Glial originの腫瘍が髄内腫瘍の60〜70%を占め,成人では上衣腫が最も多く,次に星細胞腫,血管芽腫が続くが(表1),小児では星細胞腫が最も多い.
Elsebergが1907年に髄内腫瘍の摘出の報告をして以来,多くの報告がなされてきた.20世紀初頭〜中葉においては術後のmorbidityが問題であり,多くの報告は腫瘍のbiopsy,硬膜形成による外減圧,放射線照射などであった.その後,MRIの出現,手術用の顕微鏡,術中のさまざまなモニタリングにより,髄内腫瘍に対しての治療に外科治療が第一選択となってきたのであった.
脳実質と比較して,脊髄実質は非常に機能が凝縮され,緻密な構造となっており,その意味では脊髄はすべてがeloquent areaといえる.したがって,髄内への手術操作による不用意な脊髄の損傷は不可逆的な後遺症を残し得る.症例ごとに腫瘍の性格,周囲の正常な神経組織から剝離し得るかを検討し,周到な手術のプランを立てることが重要と思われる.
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