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はじめに
椎間板の変性や破綻を主因とした腰椎疾患に対して,側方経路腰椎椎体間固定(lateral lumbar interbody fusion:LLIF)を応用した報告が増加している.LLIFは2001年にPimentaが内視鏡を用いた神経モニタリングなしの手技で初めて報告し,その後レトラクターの改良と神経モニタリングシステムの開発を経て,より安全で系統的な手技extreme lateral interbody fusion(XLIF)となって普及した.2006年のXLIFの初めての報告後4),従来の前方椎体間固定(anterior lumbar interbody fusion:ALIF)や後方からのposterior lumbar interbody fusion(PLIF)/transforaminal lumbar interbody fusion(TLIF)に代わる低侵襲手術として,良好な成績が数多く報告されている1,6,10).
XLIFは,ALIFの手技を小皮切かつ直視下に行えるように発展させたもので,後腹膜臓器や大血管を大きく展開することなく脊椎に到達することで,前方手術の侵襲と合併症リスクを軽減できるとされている2,4).また,後方からの椎体間固定術と異なり,椎弓や椎間関節などの脊椎後方要素を温存しながら,硬膜や神経根をよけることなく,面積の大きなケージを椎体間に設置することができる5,6).
XLIFの利点は,そのままALIFの利点ともいえるが,椎間板側面から広範囲な椎間解離が可能で,ケージを椎体外縁のring apophysisを支持する形で設置することで,椎間を介して強力に変形を矯正できること,前・後縦靭帯を温存しながら椎間高を獲得することでligamentotaxisによるすべりと回旋の矯正ができること,脊柱管や椎間孔の間接的神経除圧が可能であること,出血が少ないこと,骨癒合率がよいことが挙げられる1,2).
これらの利点を反映して,LLIFは2013年にわが国へ導入された後,3年間で6,000例を超える症例に行われたが,一方で2016年1月にXLIFにおいて腸管損傷からの死亡事故が報告された.XLIFは部品の自主回収を行い一時中断されたが,その後承認条件の下に再開されている.本稿では,XLIFという革新的新規術式を安全かつ有用に行うために,再度,手術手技についての重要点を確認していきたい.
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