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特集 NMOとMSの最新情報
抗MOG抗体陽性視神経脊髄炎
Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders with MOG-Ab
金子 仁彦
1
,
中島 一郎
2
Kimihiko KANEKO
1
,
Ichiro NAKASHIMA
2
1東北大学神経内科
2東北医科薬科大学老年神経内科学
1Department of Neurology, Tohoku University School of Medicine
キーワード:
ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin oligodendrocyte glycoprotein)
,
視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorders)
,
脱髄疾患(demyelinating disorder)
Keyword:
ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin oligodendrocyte glycoprotein)
,
視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorders)
,
脱髄疾患(demyelinating disorder)
pp.783-788
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200691
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はじめに
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica spectrum disorders:NMOSD)は,視神経あるいは脊髄に病変の首座を置く,中枢神経系炎症性疾患の1つである.かつては,多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の亜型とされた視神経脊髄型多発性硬化症(optic-spinal form MS:OSMS)との異同が議論されたが,NMOSDあるいはOSMSの多くで抗aquaporin 4(AQP4)抗体が陽性となることが報告され,現在では,NMOSDはMSとは異なった疾患であると理解されている.
一方,ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin oligodendrocyte glycoprotein:MOG)はミエリンに存在する蛋白であり,1980年代から中枢神経系の脱髄疾患との関連が指摘されていた.近年,抗体測定技術の進歩に伴い,MOGに対する自己抗体(抗MOG抗体)を高感度・特異度で検出できるようになり,本抗体は,抗AQP4抗体陰性NMOSDの一部をはじめとして,さまざまな脱髄疾患で検出されることが判明した.
抗MOG抗体陽性NMOSDは初発時に脊髄病変を生じ得るため,初診で脊椎・脊髄外科医が診療にあたり得る.このことを踏まえ,本稿では,この抗MOG抗体陽性NMOSDについて,現在までにわかっている病態,臨床像,検査所見,画像所見,特に脊髄疾患との鑑別,治療方針について概説する.
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