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特集 仙腸関節の基礎と臨床
骨盤輪骨折と仙腸関節—その臨床的意義と治療戦略
Pelvic Ring Injury and Sacroiliac Joint:Clinical Significance and Treatment Strategy
澤口 毅
1
Takeshi SAWAGUCHI
1
1富山市民病院整形外科・関節再建外科
1Department of Orthopaedic Surgery & Joint Reconstructive Surgery, Toyama Municipal Hospital
キーワード:
仙腸関節(sacroiliac joint)
,
脱臼(dislocation)
,
脱臼骨折(fracture dislocation)
Keyword:
仙腸関節(sacroiliac joint)
,
脱臼(dislocation)
,
脱臼骨折(fracture dislocation)
pp.208-214
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200323
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はじめに
骨盤輪は仙骨と両側の腸骨により構成され,その安定性は前方の恥骨結合と後方の靭帯群(前後の仙腸靭帯,仙棘靭帯,仙結節靭帯,腸腰靭帯)によって与えられている.骨盤後方部の破綻は骨盤輪の不安定性を生じるため,内固定が必要である8).骨盤輪骨折で仙腸関節が損傷される場合は,前後方向の圧迫力による仙腸関節離開,側方からの圧迫力による仙腸関節脱臼骨折および垂直剪断力による仙腸関節脱臼あるいは脱臼骨折である.骨折を伴わない仙腸関節脱臼は,解剖学的整復が得られない場合には機能的予後が不良である3,6).一方,骨折を伴う場合は,純粋な脱臼に比較し機能的予後がよい2).これは,骨性癒合が得られた場合のほうが,靭帯の瘢痕形成よりも安定性が得られるからであると推測される1).しかし,純粋な脱臼では骨性強直が得られたからといって機能的予後がよくなるわけではなく4),完全な整復を得ることが重要である.ただ,解剖学的整復が獲得できた症例の中にも,疼痛が残存して機能予後が不良となる症例も少なくないことも認識する必要がある5).
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