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特集 脊椎外傷—捻挫から脊髄損傷まで
第2章 脊椎損傷の診断と治療
下位頸椎脱臼骨折の治療—手術療法
The Surgical Treatment of Lower Cervical Spine Fracture and Dislocation
小西 宏昭
1
Hiroaki KONISHI
1
1長崎労災病院勤労者脊椎・腰痛センター
1Nagasaki Rosai Hospital
キーワード:
下位頸椎(lower cervical spine)
,
脱臼骨折(fracture dislocation)
,
手術療法(surgical treatment)
Keyword:
下位頸椎(lower cervical spine)
,
脱臼骨折(fracture dislocation)
,
手術療法(surgical treatment)
pp.360-366
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200354
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はじめに
第3頸椎以下の損傷は,通常中下位頸椎損傷といわれている.受傷機転に応じて治療法を選択する.分類に関しては,AO分類3)やAllen分類4)が多く使用される.いずれも損傷のメカニズムに基づいた分類で,治療法に連動するものである.脱臼骨折では,前方のalignmentの破綻に加えて,後方の関節包や棘間靭帯が損傷され,回旋が生じる場合がある.分類や保存的治療については別に述べられているので,ここでは観血的治療の実際について述べる.
頸椎の脱臼骨折では,椎体配列に異常が生じ脊柱管の狭窄を惹起し,多くは脊髄損傷を伴っている.手術のタイミングを誤ると,神経症状のさらなる悪化を生じさせる.また,不適切な治療では将来追加手術が必要となる場合がある.早期にリハビリテーションを開始し,可能な限りの神経学的な改善とADLの拡大を図り,早期の社会復帰を促すためにも適切な治療を行うことが重要である.また,神経学的な異常がなくても,損傷形態によっては遅発性の変形をもたらし,ADL障害の原因となる.したがって,初期治療における正しい評価と治療法の選択はきわめて重要といえる.
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