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特集 脊椎脊髄の冠名徴候・症候群
Ⅰ.冠名徴候
第1章:錐体路障害の徴候
逆Chaddock徴候
Reverse Chaddock Sign
田代 淳
1,2
,
田代 邦雄
3
Jun TASHIRO
1,2
,
Kunio TASHIRO
3
1インスブルック医科大学神経内科
2一般財団法人北海道神経難病研究センター
3北祐会神経内科病院
1Department of Neurology, Innsbruck Medical University
2The Hokkaido Foundation for Intractable Neurologic Diseases
キーワード:
逆Chaddock徴候(reverse Chaddock sign)
,
田代徴候(Tashiro's sign)
,
腓腹神経(sural nerve)
Keyword:
逆Chaddock徴候(reverse Chaddock sign)
,
田代徴候(Tashiro's sign)
,
腓腹神経(sural nerve)
pp.242-245
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200063
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はじめに
神経学・神経症候学において,Babinski徴候は最も重要な神経徴候の1つであり,この「足底外側を刺激することで母趾が背屈する」現象は錐体路障害を意味する9).Babinskiの報告以来,母趾を背屈させる刺激法が次々と発表され,それぞれ発表者の人名を冠した徴候として知られているが,それらのいわゆる「変法」は重要性が低いとされてきた.しかしながら,「変法」の1つであるChaddock徴候は,自験例での検討ではBabinski徴候よりむしろ陽性率が高く5,6),日常臨床でもBabinski徴候の判定が困難な場合でも確実に陽性と判定できる例はよく経験されるのではないだろうか.
本稿のテーマである逆Chaddock徴候は,足背を内側から外踝方向へ刺激して母趾背屈を誘発する手技で,Chaddock徴候に関する検討の過程において著者(KT)が発見し「reversed Chaddock method」として提唱したものである6,8).この手技は,Chaddockの原法よりも優れていると主張したわけではないが,決して劣るものではなく,国際的にもBabinski徴候のrival signsの1つと認められ,‘reverse Chaddock sign’,‘Tashiro's sign’として紹介されている3,11).
本稿では,逆Chaddock徴候について,その発見から提唱に至った経緯とその意義に関して述べる.
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