今月の主題 不整脈のトピックス
不整脈の基礎
逆問題
真島 三郎
1
Saburo Mashima
1
1東京大学医学部・第2内科
pp.1080-1081
発行日 1983年7月10日
Published Date 1983/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218333
- 有料閲覧
- 文献概要
定義
逆問題(逆方向問題)inverse problemは,近年工学系から心電図法への寄与が大きくなってよく使われるようになった言葉である.理学系のいろいろの領域で,違った意味に用いられることもあるようだが,心電図の場合,体表から得られる情報をもとにして,内部すなわち心臓の表面や心臓内で起こっている現象を推定する問題という意味である.これに対し,心臓で一定の現象が起こったときに,その影響が体表電位にどのように反映されるかという問題が順方向問題forward problemである.
この定義からいうと逆問題は少なくとも広い意味では心電図法の課題そのものである.しかしとくに最近このような言葉が使われるのは,測定,計算の技術が進歩し,体表の多数の誘導などから心表面電位や心起電力を直接的に求めようとする研究が行われるようになったためである.近似的な意味での逆問題は心電図の歴史とともに古い.平均電気軸を求めることなどは肢誘導から心起電力の方向を決定するので,逆問題の例といえる.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.