増刊号 テクニカルエイド—つくる自助具・使える自助具
第6章 自助具を活用したこれからの支援
1 自助具として捉えたICT・デジタル技術を活用する支援—公的保険外での取り組みから考える
小林 大作
1
Daisaku Kobayashi
1
1株式会社アシテック・オコ
pp.836-840
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203887
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はじめに
私たちの最も身近なICT・デジタル技術であるスマートフォンは,2022年(令和4年)時点の世帯保有率が90.1%1)であり,生活に欠かせないモノとなっている.スマートフォンを用いたキャッシュレス決済,「○○,テレビをつけて」というフレーズをテレビCMで耳にするスマートスピーカー等IoT(internet of things)をはじめ,AI(artificial intelligence)等のICT・デジタル技術は,生活を便利にし,人々の作業や暮らしぶりを変容させている.
松元2)は自助具について,「多様な日常生活のあらゆる場面において,心身機能の低下等により一般的な生活用具・方法ではその目的動作の遂行に困難をもたらす場合に,その解決のために当事者本人が用いる用具や工夫」と述べている.これを広義に捉えると,ICT・デジタル技術は,障害児者や高齢者の生活における困難を解決する自助具と考えることができる.つまり,ICT・デジタル技術は,作業療法の対象者に対して提供する自助具の選択肢の一つとして検討すべきモノである.
本稿では,自助具としてのICT・デジタル技術,ICT・デジタル技術を使用するための自助具について述べ,それらの専門的な支援を提供するための課題について述べる.
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