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今回の「テクニカルエイド」は,これまであまり特集等で取り上げる頻度は高くなかった「自助具」をテーマとした.作業療法士にとって,「自助具」は,対象者個々の状態に合わせて工夫し,生活を支援するためのアプローチであるが,昨今ではつくる機会も減っている.その要因は,市販品としての生活便利品が豊富に出回り,活用できる物が多く存在していることにある.現代の自助具環境は,「作業療法士が素材を基に一からつくり上げる方法」,「素材と生活便利品を組み合わせて作製する方法」,「生活便利品を対象者に合わせて改良し適用する方法」,「生活便利品と生活便利品を組み合わせて作製する方法」,「生活便利品をそのまま適応する方法」,「生活便利品を本来の目的とは異なる活用で代用する方法」,「3Dプリンタで作製する方法」,「作業療法士がデザイン,監修したものを業者や企業に製品や商品化する方法」等,提供方法が多様で,自助具提供の新時代が到来している.
そのような時代背景の中,本号ではデザイナーや工学エンジニア等が作製する自助具と,作業療法士が評価し,デザインした「つくる自助具」との違いについて,その視点や感性の違いを学ぶ機会としたい.その趣旨を踏まえ,執筆いただいた先生方は,各分野各領域において,自助具作りを作業療法士の誇りとし,国民への社会貢献,作業療法士の社会的地位向上につなげ,作業療法士人生を自助具作りに捧げているといっても過言ではないスペシャリストが集結している.そのような先生方から,「使える自助具・つくる自助具」の極意が惜しみもなく伝授されている本増刊号は,単なる雑誌という概念を超越し,作業療法における自助具作りの百科事典,あるいは秘伝書となるもので,時代を超えて受け継がれることを願う.
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