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2000年(平成12年)に回復期リハ病棟が医療保険に創設され,同年には介護保険制度が社会保険制度で施行された.その後,わが国の社会保障制度は改定を重ね,目まぐるしく変化している.また,2015年(平成27年)には,認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が公表され,さらには2025年を目途に,「高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで,可能な限り住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう,地域の包括的な支援・サービス提供体制」(厚生労働省)として地域包括ケアシステムの構築が進んでいる.
そのような社会情勢の中,わが国でおよそ半世紀の間に培われた日本の作業療法が,国民の健康に寄与できるのか,その責任がこれまで以上に問われている.一般社団法人日本作業療法士協会では,2008年度(平成20年度)老人保健健康増進等事業の研究補助金を基盤に,国民にわかりやすく作業療法を伝えるために,基準となる作業療法の枠組みづくりを始めた.その研究事業は,2013年度(平成25年度)まで行われ,枠組みの開発と検証がなされた.この枠組みが,生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance:MTDLP)である.自立支援に資する包括マネジメント方法として開発されたMTDLPは,回復期リハ病棟や通所,入所,訪問等,さまざまな場所で効果が検証され,またOTと介護支援専門員,OTと訪問介護等,さまざまな連携場面での有効性も検討された.研究事業後も,介護予防に資するMTDLPの検討を行っており,地域包括ケア時代における有効な手段としてMTDLPを実践している最中である.
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