増刊号 スポーツがもつ可能性—作業療法への期待
刊行にあたって
上 梓
1
1日本作業療法士協会
pp.709
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201767
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2011年(平成23年)8月施行の「スポーツ基本法」において,障害者の自主的かつ積極的なスポーツを推進するとの理念が掲げられた.また,障害者スポーツに関する施策を福祉の観点のみならず,スポーツ振興の観点からも一層推進していく必要性が高まったこともあり,2014年度(平成26年度)より一部の障害者スポーツ事業は厚生労働省から文部科学省に移管され,その後スポーツ庁が設置された.これらの変化は障害者スポーツに携わる人々の間では非常に大きな進歩として捉えられた.なお,障害者の社会参加やリハにかかわる障害者スポーツ事業については引き続き厚生労働省が所管しており,2020年東京パラリンピック競技大会を見据えた地域の障害者スポーツ環境の整備に向けて,OTやPTを含む医療福祉従事者に対しても期待が高まっているのが現状である.
居住・職場環境によっては,障害者スポーツにかかわりたくてもかかわれないOTも多いと感じる.私自身,オーストラリアでOTの資格を取得し,障害者スポーツの世界でOTとして働く機会を模索した過去があるが,PTやビジネス・マネジメント系の資格や経験なしに障害者スポーツにかかわる機会は得られなかった.2000年にシドニーパラリンピック競技大会を開催したオーストラリアでさえも,日常業務と両立しながら障害者スポーツ領域にかかわるOTはきわめて少なく,障害者アスリートの支援は趣味やボランティアで行う域を出ていなかった.
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