連載 作業療法を深める・第65回
超高齢社会における心不全療養指導士の役割
平田 健一
1
Kenichi Hirata
1
1神戸大学大学院医学研究科循環器内科学分野
pp.434-440
発行日 2022年5月15日
Published Date 2022/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202965
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はじめに
わが国において心不全患者は現在約100万人以上いると推計されており,超高齢化のさらなる進行により,2035年ごろまでは増加の一途をたどると推定され,このような状況を「心不全パンデミック」と呼んでいます.今後,わが国における健康寿命の延伸を達成するためには,心不全に対して多職種連携,地域連携による対応が重要になっています.
ほとんどの心不全は,急性心不全で発症し,その後は慢性心不全の状態となり,入退院を繰り返すうちに徐々に重症化することとなります.心不全の悪化を防ぐためには,日常生活の適切な管理と運動や栄養指導が重要であり,そのためには知識だけではなく,さまざまな職種のチーム医療が重要になってきます.心不全こそ,さまざまな職種の人が各自の知識と技術,経験を活かしながら,患者の情報を共有し連携することで,他の患者を総合的にみることが重要です.
そこで日本循環器学会では,この目標を達成するために,新たに「心不全療養指導士」制度を設けることにしました.近い将来の心不全パンデミックを克服するために,少しでも多くの人に「心不全療養指導士」の資格を取っていただき,活躍してくださることを希望しています.本稿では,「心不全療養指導士」制度の設立の背景,役割,将来への期待について概説したいと思います.
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