特集 各方面で進む「ヘルスプロモーション」
行政と市民の協働による多角的なヘルスプロモーションの展開
宮北 隆志
1
1熊本学園大学社会福祉学部福祉環境学科
pp.676-679
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100454
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
「持続可能なくまもと」の実現に向けた市民参画と協働の芽生え
だれもが自分らしく暮らすことができる,ふくらみのある豊かな生活を実現できる,そして,そのことを将来の世代にも保障できる「持続可能なくまもと」をめざす取り組みが着実に前進している.熊本市環境企画課,健康福祉政策課,農政企画課にそれぞれ事務局を置くパートナーシップ型の組織としての「環境パートナーシップくまもと市民会議」,「健康くまもと21推進市民会議」,「熊本市民食農応援団」に代表される市民参画と協働の取り組みが,熊本市役所内の他の部局にも拡がろうとしている(図1).
これまでの「行政おまかせ」スタイルではなく,暮らしの中から地域に潜む様々な課題を見いだし,その課題を自らの問題としてとらえ,行政や地域の事業者との協働で問題解決を図ろうとする「市民」がその原動力である.また,そんな市民の思いを真摯に受けとめようとする若手・中堅の行政職員が,「生活者参画型」コミュニティへの転換に向けた環境づくりのために奮闘している.この過程は,ヘルスプロモーションの理念としてオタワ憲章(1986年)に謳われている「個人を取り巻く環境を健康にプラスになるように改善し,対処することができるようにするプロセス」であり,サンドバール宣言(1991年)が,行政担当者と地域のすべての構成員に求める「社会的,政治的,経済的,物理的側面における支援的環境づくり」の視点と一致するものである.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.