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Key Questions
Q1:病院から地域に戻るということは?
Q2:OTが大切にしたい対象者の想いとは?
Q3:回復期リハビリテーションでOTが期待される役割とは?
はじめに
日本では諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しており,2040年以降も75歳以上の人口割合は増え続けていくことが見込まれている.そうした中で,医療や介護が必要な状態となっても,できるかぎり住み慣れた地域で安心した生活が送れるよう,その地域で人生の最期を迎えることができる環境の構築が求められている.そのためは一人ひとりの自立と尊厳を支えるケアを,将来にわたって持続的に実現していくことが必要となってくる.
現在,回復期リハビリテーション(以下,回復期リハ)では,2016年度(平成28年度)の診療報酬改定での実績指数の導入以降,より短期間でのADLの向上と,在宅生活の継続を可能にする退院支援が求められている.対象者の視点に立った切れ目のない医療および介護の提供体制を考える必要があり,回復期は病院と在宅生活をつなぐ重要な時期であるといえる.
「すみ慣れた地域で安心した生活」とはよく耳にするが,具体的にどのようなことをイメージするだろうか.数名の対象者にうかがうと“土地勘がある”,“家族が近くにいる”,“友人と交流できる”,“山のある生活”……等,さまざまであり,慣れ親しんだ環境とは一人ひとり異なるもので,地域によっても色合いは多岐にわたる.
一方で,病院から退院する対象者は,障害やけがを負った状況,つまり今までの身体とは異なる状況での生活が待っている.これまでにも不安を抱えて退院される方々を多くみてきた.そのように考えると,慣れ親しんだ環境で安心して住み続けるためには,在宅生活に必要な生活動作の獲得や「病院から地域へ」の意識だけでなく,家族や地域の方々がそれを受け入れる「地域から病院へ」向けた意識や理解,体制づくりも「回復期」には重要な視点の一つであるといえる.
本稿では,神立病院(以下,当院)回復期リハを例にとり,医療介護連携だけでなく対象者が安心して地域に戻れるよう,各職種での役割や地域連携について,取り組みや実践を交えて述べる.
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