増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第4章 支援技術Ⅲ 生活期:生活の広がりに向けて
9 アクティビティ—作業・活動,支援用具
大熊 明
1
Akira Okuma
1
1デイサービスセンターあおぞらケア・リハビリ
pp.945-950
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202643
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はじめに
筆者は,市保健センターの機能訓練事業に従事した後,現在は起業して,2004年(平成16年)に地域密着型のデイサービス(通所介護事業所)を開設し,生活期における作業療法の実践にかかわっている.当デイサービスは定員10名という小規模事業所で,一人ひとりに介護サービスが行き渡ることを理念に,また,作業・活動(アクティビティ)を活動の重点として展開することを目標にした.作業・活動は,それ自体が生活の中で広がりをもつものであり,作業療法の“核”を成すものと捉えている.
幅広い概念をもつ“アクティビティ”という用語であるが,本編ではアクティビティを,「作業療法で用いる作業,活動」という意味で,「作業・活動」として表記して述べる1).また,作業・活動のすべてを網羅することは困難なため,クラフト(handcrafts)および参加・活動を中心に述べる.今日,多くのOTがかかわっているADLについては成書に委ねることとしたい.
デイサービスは通所期間が長く,当デイサービスの特徴の一つである作業・活動もさまざまである.また,評価の一つの方法としても活用できるため,すべての利用者は初回に,通所に必要となる連絡ノートを入れる“袋づくり”を行っている.これは,縫製する布を染色するところから始め,糸を用いてくくる“絞り染め”を行うものである.絞り染めは,糸の種類や糸のくくり方で難易度や段階づけが行え,この作業・活動により利用者の手指の巧緻性や作業工程の理解等がスクリーニングされる.その後,片麻痺がある利用者には自助具を使って絞り染めを行う等しており(図 1),絞り染めの布で座布団を縫製する等の作業・活動もある.
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