増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第3章 支援技術Ⅱ 急性期から回復期の個別性を重視した介入(事例報告)
5 これからの住環境整備—脳血管障害で留意すべき点,コロナ禍での退院支援
久保田 好正
1
Yoshimasa Kubota
1
1株式会社斬新社
pp.901-905
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202633
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はじめに
2021年(令和3年)2月,この原稿を執筆している現在は,新型コロナウイルスの感染予防のため2回目となる緊急事態宣言が都市部を中心に発動されている.リハの業界でも感染予防と活動自粛の影響があり,20年かけて構築してきた病院から自宅へ退院する際のソフトランディングを目指した医療・介護連携,退院前訪問指導の充実等,できるだけご本人やご家族が安心して退院できるシステムが機能していない.特に脳血管障害による身体機能,高次脳機能障害等,複合した障害による日常生活への影響,退院後のご家族やご本人の戸惑いは想像できる.人生の舞台である「家」に,コロナ禍であっても,どのように病院・在宅チームが介入するのか.新しい住環境整備のあり方が求められている.
筆者は,山梨県で「高齢社会を面白くするデザイン会社」株式会社斬新社を設立し,OTとして病院や訪問・通所・入所等を経験し,医療保険と介護保険の高齢者のリハを経験した.同時に,働きながら二級建築士を取得し,市町村での訪問指導や介護予防事業等も担当した.その中で感じるのは,住環境整備とは,単なる住宅改修だけではなく,建築や福祉用具等を駆使し,その人が暮らしたいライフスタイルを実現する人生の舞台づくりだということである.そしてそれは,コロナ禍でも変わらないリハの核となる理念であり,この時代に生きる私たちが新たなカタチをつくり出す役割をもっていると認識している.
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