Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:訪問リハと訪問型サービスの違いとは?
Q2:訪問型サービスにおける作業療法士の役割とは?
Q3:対象者のセルフマネジメント力を引き出す支援のあり方とは?
はじめに
少子高齢化や人口減少の課題を総称した,いわゆる「2025年問題」というものに対して,高齢者が住み慣れた地域で,その有する能力に応じて自立した日常生活が営めるようにするため,多種多様な支援を地域の実情に応じて提供することが地域包括ケアシステムのかたちとされている.そして,その実現のための取り組みとして各市町で運用されているのが,「介護予防・日常生活支援総合事業」(以下,「総合事業」)である.
2015年(平成27年)からスタートした「総合事業」は,市町が中心となって,地域の実状に応じて,住民等の多様な主体が参画し,多様なサービスを充実することで,地域の支え合い体制づくりを推進し,要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を目指すものである(構成例は文献1を参照).「総合事業」における多様なサービスの展開は各市町の実状に応じて検討されるが,訪問型サービス,通所型サービスにはそれぞれ緩和した基準によるサービス(A型),住民主体による支援(B型),短期集中予防サービス(C型)等のサービスの類型が厚生労働省のガイドライン2)によって示されている.
短期集中予防サービスにおける訪問型サービスC(以下,訪問C),通所型サービスC(以下,通所C)は,生活機能が低下している高齢者に対し,期間を設定し(3〜6カ月),リハ専門職等が集中的な支援を行うことで効果的に機能回復を図るサービスとされている(両サービスの概要は文献2を参照).具体的には,高齢者のセルフケア能力を高める働きかけを行い,サービス終了後も継続して介護予防に取り組み,自立した生活ができるように支援することであり,サービス提供期間を通じて生活機能の改善が得られた場合には,可能なかぎり「一般介護予防事業」における住民運営の通いの場など,社会参加のための場所への移行を目指すものである3).
短期集中予防サービスは,従来の要支援者(以下,要支援者)および基本チェックリスト該当者(以下,事業対象者)を対象に提供されるサービスであり,基本的に要介護認定の対象者は支援対象とはならない.一方,訪問リハビリテーション(以下,訪問作業療法)は,要介護および要支援の介護認定対象者に提供されるサービスであるが,事業対象者への訪問作業療法による介入は制度的に難しいものがある.また,総合事業における短期集中予防サービスに限らず,地域支援事業という枠で考えれば,地域リハビリテーション活動支援事業によりOTの訪問型援助(以下,訪問指導)が行われるケースもある.本稿では,訪問Cや訪問指導を「地域支援事業における訪問サービス」と捉え,その取り組みにおけるOTの介入のあり方と役割について考えていきたい.
Copyright © 2021, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.