わたしの大切な作業・第37回
母の絵と向き合う
荻野 アンナ
pp.419
発行日 2021年5月15日
Published Date 2021/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202488
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7年前に画家の母を亡くした。広いアトリエと倉庫が家に付いている。そのまま放置したせいか、絵によっては痛みが激しいと判明した。母の命を注いだ作品が、汚れ、カビ、ヒビ、剝落の犠牲になっている。痛みのひどいものを数点、専門の機関に修復を委託した。
先日、絵の修復の現場を見せてもらった。母の大作を2つ立てかけると、壁面がいっぱいになってしまう。絵の汚れは、拭くのかと思っていたら、水をつけた綿棒で丁寧にぬぐっていく。それだけでも気の遠くなるような作業だ。
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