連載 食べる楽しみを支える 実践編・第5回
「OTさん,患者さんの食べこぼしがひどいんです!」—食べこぼしに対する評価・介入ポイント
佐藤 彰紘
1
Akihiro Sato
1
1目白大学
pp.1012-1016
発行日 2020年8月15日
Published Date 2020/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202225
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食べこぼし=摂食動作の問題?
皆さんが食べこぼしに関する相談を受けたら,どのような評価・対応をしますか? 最も多いのは,上肢操作を主要な問題と考え,「きちんと食事を口に運べているかな」と,食事動作や道具に介入をすることではないでしょうか.このような考え方はもちろん間違いではありません.しかし,文献検索サイトで「食べこぼし」を検索すると,上肢操作に関する論文は少数派で,食べこぼしと口唇閉鎖力の関係を調べた論文が多数出てきます.つまり,OTは摂食動作中にこぼしてしまうことを「食べこぼし」と捉えているものの,他職種は食物が口腔に入った後に口からこぼれることを「食べこぼし」と呼んでいる可能性があるということです.
職性の違いにより,同じ言葉を使っていたとしても,同じ場面を指していない場合があります.OTは「食べこぼし=摂食動作」という先入観にこだわらず,「どのタイミングで食物をこぼしているのか」ということを評価する視点が重要になります.
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