増刊号 精神科作業療法
第2章 時期別の作業療法
4 「あきらめない」,「やってみる」,「重なり合う」支援—1年以上の長期入院者の地域移行の実際
奥田 真由美
1
Mayumi Okuda
1
1岡山県精神科医療センター
pp.789-796
発行日 2020年7月20日
Published Date 2020/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202181
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
岡山県精神科医療センターは,一般的な精神医療に加えて,急性期治療,児童思春期治療,司法精神科治療等の機能をもつ病床数252床の精神科病院である.当院は,積極的な薬物療法を行うとともに,多職種チームを組んで対応することで早期の退院を目指しており,2018年度(平成30年度)の病院全体の平均在院日数は56.9日(司法入院棟を除く)であった.3カ月以上の入院が必要な対象者は,重度・慢性入院棟にて加療を継続している.筆者は2年前よりその重度・慢性入院棟を担当している.
本稿では,当入院棟のかかわりが奏効した事例を紹介した後,入院が長期化する要因の考察,および治療抵抗性統合失調症への積極的な薬物療法であるクロザピン(商品名:クロザリル錠)服用者に対する多職種協働の取り組みや,地域への伴走支援の実際,併存問題の評価や対処,難渋している課題等を述べる.長期化する事例は複雑で,いまだ課題は山積状態だが,ありのままをお伝えしたい.なお,文中に紹介する事例は,複数の類似のエピソードを組み合わせた架空事例である.また,本稿の報告にあたり,当院倫理審査委員会の審査を受けている.
Copyright © 2020, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.