講座 ICT,AI,ロボットを活用した作業療法・第4回【最終回】
機能訓練や自立支援のためのロボット技術を活用した機器開発の現状とOTの役割
小林 毅
1
Takeshi Kobayashi
1
1学校法人敬心学園大学開設準備室
pp.1162-1167
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201883
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はじめに
現在のロボット技術を活用した各種の機器の開発・普及は,日本の経済再生の政策的な流れによって形成されてきている.「日本再興戦略—JAPAN is BACK—」〔日本経済再生本部:2013年(平成25年)6月14日〕1)の中に,「科学技術イノベーションの推進」や「世界最高水準のIT社会の実現」といった記載をみることができる.「ロボット」の開発・普及では,「ロボット新戦略(Japan's Robot Strategy)—ビジョン・戦略・アクションプラン—」〔日本経済再生本部:2015年(平成27年)2月10日〕2)に,2020年までに目指すべき姿をみることができる(図 13)).政策的な開発や普及・実用化の事業では,2014年度(平成26年度)から継続している「障害者自立支援機器シーズ・ニーズマッチング強化事業」4)や2011年度(平成23年度)からの「福祉用具・介護ロボット実用化支援事業」5)を,厚生労働省の委託を受けた財団法人(当時)テクノエイド協会の報告でみることができる.また,経済産業省では2013年度から「ロボット介護機器開発・導入促進事業(開発補助事業)」を実施しており,「介護ロボットポータルサイト」6)に結果を報告している.なお,厚生労働省と経済産業省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」(以下,「重点分野」)7)を公表している(図 28)).
本稿では2016年度(平成28年度)から厚生労働省が事業化した「介護ロボット開発等加速化事業」の概要を示し,一般社団法人日本作業療法士協会(以下,OT協会)の事業実績を振り返り,OTが今後果たす役割への期待や課題を考えてみたい.
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