増刊号 スポーツがもつ可能性—作業療法への期待
第1章 総論
1 作業としてのスポーツ,レクリエーション
酒井 康年
1
Yasutoshi Sakai
1
1うめだ・あけぼの学園
pp.724-727
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201771
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はじめに
今,テレビをはじめとした種々のメディアでは,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて,多くのスポーツシーンが取り上げられている.それらの報道を見ていると,障害のある方たち,パラリンピアンが多く取り上げられていることに気づく.これだけメディアで障害者スポーツが取り上げられ,その知名度が高まり,周知されていくことは,日本がオリンピック・パラリンピックを招致した成果の一つといえるかもしれない.
広く周知されたこの機会に,障害者スポーツと作業療法との距離感を考えたいというのが,今回の企画の趣旨であろうと理解する.
障害者スポーツの一つの頂点にあるといえるのが,パラリンピックであろう.そこで競技に挑むパラリンピアンは,プロフェッショナルに競技スポーツを突き詰めてたどり着いた,いわばトップアスリートである.作業療法という専門性,もしくはOTという専門職は,このトップアスリートの集いであるパラリンピックに対して,どんな貢献ができるのだろうか.本稿ではこの点を取っかかりとして考えていきたいと思う.
少し結論を先取りすると,作業療法という専門性からみたときには,トップアスリートが競技として挑むシーンだけがスポーツではなく,スポーツを巡る広範囲な場面や状況を視野に収めることができるし,多くのOTが何らかのかたちで関与することが可能であろうし,これまでも関与してきたであろうことを確認することになるだろう.
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