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Ⅰ.はじめに
レクリエーションが現在の概念で認識されたのは,第一次産業革命(1760年)以後と考えられている.日本では1921年(大正10年)だといわれている.古代から,レクリエーションという言葉を使わないまでも,生活を楽しむすべとして,レクリエーション活動をしていたであろう.しかし,それは,主に一部の特権階級に限られていたようだ.日本の場合も,庶民のものとなったのは,明治以後と言われている.当初は労働からくる精神的緊張を緩和する目的から,労働に相対して職場にレクリエーションが取り入れられた.現代のように技術化された社会では,精神的緊張つまりストレスは労働からばかりでなく,一切の生活上の緊張からも起り,職業を持たぬ老人にまで影響を及ぼしている.我国における高齢者のレクリエーション(以後高齢者レクと略す)が本格的に育ったのは,老人会又は老人クラブと云って過言ではない.余暇対策の一環として老人クラブが創られ,徐々に老人の間に浸透していった.我国の老人クラブ数の推移を全社協の資料でみても,昭和29年に全国に112クラブであったのが,昭和47年には91,000クラブに達し,会員数も60歳以上の高齢者の半数に近い540万人に及んでいる.20年足らずの間に爆発的に増加している.そしてまだまだ増え続ける勢いを示している.行政的な援助もあったろうが,高齢者自身のレクに対する志向が強いと見なせよう.最近の老人福祉の動向として,国,地方自治体は政策の中に,年金の引上げ,老人医療費無料化などを折り込んできている.一方マスコミも「高齢者社会がやって来る」など,いろいろなキャッチフレーズをあげて,老人問題にスポットをあてているので,国民一般も老人問題にかなり関心を持ってきている.その影響かどうか,老人の余暇活動の在り方として老人レクについても関係者の間で討議されるようになった.その一つとして,集会ゲームを主体とした外国伝来のレクリエーションが老人を対象として脚光をあび始めた.(我々一般にレクといえば,この集会ゲームを指す).集会ゲームはボーイスカウト,ガールスカウトや職場などで青壮年層を対象に以前から行なわれていたが,その技術が,老人福祉センター,老人ホームなどのクラブの中に導入されはじめた.集会ゲームは,クラブに比べ,より集団的,活動的,発散的な効果がコンパクトになっており,老人にとっては,新しいレクリエーションの形態として成長しつつある.今回は高齢者のレクリエーションを理解してもらう目的で,施設のクラブ活動及び当施設でも取り入れた集会ゲームを中心にまとめてみた.
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