連載 脳損傷者への就労支援—対象者のデータベース化と多職種による支援の試み・第1回【新連載】
東京都リハビリテーション病院の就労支援チームの立ち上げと活動
武原 格
1
Itaru Takehara
1
1東京都リハビリテーション病院
pp.658-661
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201750
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はじめに
近年,回復期リハビリテーション病棟をもつ病院は増え,365日リハビリテーション医療(以下,リハ医療)が実施されている病院も多い.現行の診療報酬制度では,在宅復帰率が重要視されており,自宅への退院を目標にリハ医療が進められている.しかし,退院後にもリハ医療を必要とする患者は少なくない.そのような患者への支援の一つに復職・就労支援が挙げられる.
しかし,リハビリテーション病院と名のつく病院の中には,外来でのリハ医療を提供していない病院が一定数ある1).つまり,自宅に退院した後に生じ得る課題については関与しないということである.特に若年脳損傷者のリハ医療は,自宅退院がゴールではなく,可能なかぎり社会復帰まで支援することが本来あるべき姿である.
復職や就労は,退院後すぐにできない患者も多い.外来でリハ医療を提供しながら,職場との話し合いをチームで行う等して,復職につながることも多い.また,新規就労では,低頻度の外来通院を行う患者に対し,地域の就労支援機関等と連携をしながら,就労支援を行う.復職・就労支援には,入院から外来へとシームレスにリハ医療を提供することが求められる.
現在,当院では入院中から退院後復職や就労の可能性がある患者について,就労支援チームが中心となり,今後の復職・就労支援の基礎として各種データを集約している.また退院目標についても,病院の全医療職の意識を社会復帰の可能性まで広げることを目的に院内勉強会を開催している.今回,われわれの活動の一端について,ご紹介する.
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