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はじめに
厚生労働省は,2015年(平成27年)4月にリハビリテーション(以下,リハ)およびリハマネジメントの機能強化を図るため,各種見直しを実施した.さらに,2016〜2017年度(平成28〜29年度)に「通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業」を実施し,リハの質改善に向けて必要となる客観的かつ標準化されたデータを効率的に収集するためのシステム(monitoring & eValuation for rehabIlitation ServIces for long-Term care:VISIT)を開発した.2018年度(平成30年度)介護報酬改定では,同システムを使って,アセスメント票やリハ計画書等のデータを厚生労働省に提出することを報酬上で評価するリハマネジメント加算Ⅳが新設され,国が継続的にデータを収集し,リハの質を評価できる仕組みが導入された(図 11)).
他方,成長戦略と構造改革の加速化により日本経済の再生を目指す「未来投資会議」においても,介護にかかわる科学的データの収集とそれに基づく有効なサービスの分析等の仕組みの構築が提唱され,自立支援・重度化防止に向けた科学的介護の実現が「未来投資戦略2017—Society 5.0の実現に向けた改革」(2017年6月9日閣議決定)に盛り込まれた.なお,VISITは,これを具現化するための重要なツールとして位置づけられている.
このように,VISITは,国の施策とも大きく関係しているが,当然,現場レベルで実践される生活期リハ/リハマネジメントのあり方にも大きく影響を及ぼすことになる.しかしながら,現時点では一部の加算算定事業所しか利用できないため,なじみのない読者も多いと思われる.
そこで,本稿では,VISITに対する理解を深めるべく,①科学的介護の実現に向けたVISITの位置づけと活用イメージ,②データベース(以下,DB)作成に向けた事前準備,③VISITの利用手続きと主な機能,④VISITで収集されたデータの活用方法について解説する.
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