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はじめに
2008年(平成20年)の「障害児支援の見直しに関する検討会」で「障害児施設の一元化」の方向性が示され,2012年(平成24年)の児童福祉法改正において,これまでの通園センターは児童発達支援センター(以下,センター)に一元化された.筆者の勤めるみどり学園も「知的障害児通園センターみどり学園」から「児童発達支援センターみどり学園」に名称が変わった.
従前の通園施設(知的障害児,肢体不自由児,難聴幼児)と心身障害児通園事業は,それぞれの専門性の高い指導・支援を提供するという点では大きな意義があった.一方で障害種別が違えば身近なところで療育を受けることができないという難点があった.また,重複する障害児等に対する処遇体制が十分整備されていない等,「障害児通園施設の統合」が必要となったのである.しかし,障害児施設の一元化は口で言うほどたやすくはない.当みどり学園においても建物が古いために車いすを使用している子どもは対象外とせざるを得ない状況であり,行政もそれを認めてくれている.が,新しい建物から用意してスタートしたセンターでは障害の一元化が可能な建物となっており,実際,発達障害がある幼児と,重症心身障害がある幼児が通園している.とはいえ,重症心身障害児1名対多数の発達障害がある幼児となってしまい,そこの職員は困惑しながら療育をしているのが現実である.中身の濃い療育が提供できるまでには,まだまだ勉強も努力も必要である.みどり学園建て直しの計画があるため,その後の取り組みになるが職員の養成は急務である.とはいっても,どのような障害がある子どもでも保育ができる人材,さまざまな障害がある子どもが混在する集団での療育ができるような人材はそう簡単には集まらないし,保育士・指導員の育成にも時間がかかる.この発達支援のグループにOTが介入する意義は大きい.しかしどのような障害の子どもであっても対応できるOTであるための人材育成も課題でもあり,これもまた時間がかかる.以下に,思いつくままになるが,これまでの作業療法を振り返りつつ今後について考えてみたい.
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