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Key Questions
Q1:QOLの評価とは?
Q2:QOL尺度の分類とは?
Q3:がん領域で用いられるQOL尺度とは?
はじめに
医療保険の診療報酬改定において,がん患者に対するリハビリテーション料が新設されたのは,2010年(平成22年)のことである.直接引き起こされる機能障害や,合併症として生じるさまざまな症状や障害に対して,専門的なリハが必要と認定されたわけである.がんの作業療法では,がん自体の原発部位の多種も然ることながら,合併症としての二次的障害が多様であること,さらにはターミナルステージでのかかわりがあることからも,その目指すべきところも多種多様なものとなる.
一方,作業療法をはじめとした医療は,目指した成果,つまりアウトカムを明確に示さなければならない.それはどの疾患においても,筋力や関節可動域等,機能の改善として,あるいは,ADLの向上として示すことができるであろう.それでは,がんに対する作業療法のアウトカムもそれでよいのであろうか.
英国は早くから,エビデンスを重視した効率的な医療を提供している国である.その英国立の臨床評価機構(National Institute for Clinical Excellence: NICE)では,がんの治療ガイドラインを公表しているが,その目標とするところは生存率の向上とQOLの改善である1).QOLを医療のアウトカムとすることに対して,日本国内では依然として一部に懐疑的な見方もあるようであるが,少なくともがんに関しては,QOLをアウトカムとして用いるべき時にきている.まして作業療法は,その改定される定義の草案2)にもある通り,「人々の健康,社会参加,幸福を促進するために」提供するものである.そうであるならばなお,QOLをアウトカムとしない選択肢はないように思う.本稿では,がん領域で用いられるアウトカムとしてのQOLについて,私見を交えて述べてみたい.
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