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Ⅰ.はじめに
当センターは,B型センターとして,相談,通所指導,地域サービスの事業を行うべく,1979年8月に開設された.1985年3月末現在,1,000余のケースの相談に対応している.通所指導の対象者は,相談部門の専門医の相談で指示のあった,幼児から65歳までの区内在住者である(65歳以上は他施設で対応).
当センターでは定員・利用期限を決めていない.
作業療法(以下OTと略す)部門の実質的活動は1980年4月から開始し,1985年3月末まで2名のスタッフで130名に対応した.
この中で成人の中途での障害者は80余名.7割が脳血管障害後遺症者で,男性が若干多い.この6割が,定期通所指導をうけている.利用時平均年齢55歳,発症後1年未満から10年以上と幅がある.多くは発症後のある一定期間,医療でのリハビリテーション(以下リハと略す)を経験し,在宅となっている.
中途で障害者となった利用者は,何を望んで当センターに来所し,これに対してOTとしては何を援助出来るのか思考錯誤の関わりを続けてきた.
来所時の利用者のほとんどは,身体機能の回復訓練を希望している.しかし,関わりを続ける中で要望が徐々に変化し,ある方向性を持ってきている.それは“如何に家庭内で,地域社会で生活してゆくか.”への関わりであり,まさにQOL (quality of life),生活の質,生きかたへの関わりとなってきている.これはOTの指導目標にしていることではあるが,そのための評価や指導方法については,暗中模索を続けている現状である.
今回,どのような過程を経て,利用者の要望が“QOL”の方向へ変化していったかを主婦層と男性の特徴を比較検討し,OTの評価と指導(訓練)のあり方を考察してみたい.
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