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Key Questions
Q1:高齢ドライバーは一様に危険なドライバーか?
Q2:安全に運転を続けるためにできる工夫とは?
Q3:高齢ドライバーはなぜ運転を止める・続けるのか?
はじめに
2016年(平成28年)は,高齢ドライバーの関与する事故の報道が相次いだ.2016年11月には,総理大臣により「高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議」1)が開催され,警察庁では2017年(平成29年)1〜6月の間,6回にわたり,高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議2)を開催した.
高齢ドライバーとその運転に対する社会的な態度も厳しいものとなっている.2016年の内閣府の調査3)では,運転免許を保有する高齢者の身体機能のチェックを強化することが高齢ドライバーの事故防止のために重要であると考えている人は,非高齢者(18〜59歳)では76%に及び,高齢者(70歳以上)でも57%と過半数であった.すなわち,高齢ドライバーの免許制度を厳格化することに賛成する人が多いといえる.また,警察庁の調査4)では,高齢ドライバーに対して,肯定的なイメージ(「周囲の状況によく気を配って運転している」等)をもつ非高齢者(65歳未満)は1割に満たない一方,否定的なイメージ(「周囲の状況に注意を払わない」等)をもつ非高齢者は6〜7割に上っていた.
しかしながら,こうした考え方は外国では必ずしも同様ではない.たとえば,米国では,若年ドライバーは「年齢にかかわらず,すべての運転者が運転適性の検査を受けるべき」と考えていることが示されている5).また,イスラエルでは,若年ドライバーは,「死亡事故を起こすリスクは,若年ドライバーと高齢ドライバーで同程度」と考えていることが明らかとなっている6).
はたして,高齢ドライバーは皆一様に危険なドライバーなのであろうか.安全に運転を続けている高齢者にはどのような特徴があるのだろうか.本稿では,こうした問いにまつわる研究知見を紹介していく.
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